→Topへ


はじめに

模型飛行機を飛ばして楽しむ場合、私の経験では遠くまで飛ぶ飛行距離よりも、長時間のフライトに、より楽しみを感ずる。これは私ばかりではなく模型飛行機愛好家の共通の感覚ではなかろうかと思う。実際上の問題としても、前者は広大な場所を必要とするのに対し、後者は適切に旋回させれば必ずしも広大である必要はなく、また、計測もストップウォッチだけですむ。従って模型飛行機の場合には、滞空性能に重点をおいてよいであろう。

航空機の性能を比較すると、実物の高性能ソアラーの揚抗比が50に達するのに対して、レイノルズ数の小さい模型では10程度、さらに、模型でも小型の部に属するペーパー・グライダーでは10以下となって、実物に比べて大きく劣る。しかし一方、沈下率の点では、実物ソアラーが0.5m/s程度であるのに比べて、ペーパー・グライダーでは0.5〜1m/sくらいであり、大差はない。このような模型飛行機の性能上の特質、すなわち揚抗比では実物と大差があるが、沈下率の点では実物に匹敵する性能をもたせることができる。これを利用して滞空時間の長いフライトを楽しむというのが模型飛行機好きの喜びであろう。

従来、ゴムカタパルト射出の模型グライダーは、我が国では紙を主材料とした物が広く普及している。しかし、発泡スチレンなどの発泡プラスチック材を主材とした機体には、紙製の機体とは異なる特徴があるので、ペーパー・グライダーに対して発泡プラスチックのグライダーがどのような関係をもつかを、上記の観点も含めて考えてみよう。
 まず、市販で入手容易な発泡ポリスチレン板(以下、発泡スチレン板と略称)を使用した機体の特徴について私見を述べる。

特徴1 発泡率にもよるが、市販の通常の発泡スチレンの比重は約0.1、また、通常のケント紙の比重は0.8、この比は1/8である。しかし、発泡スチレン機と紙製機の重量比がこの値になるわけではない。紙に比べて、発泡スチレン板の曲げ、ねじれ強度が低いので、厚い材料を使用しなければならない。このため、発泡スチレン機は、紙製機に比べて揚抗比が劣る。しかし、厚い材料でも紙製機よりは低い翼面荷重とすることができるので、結果として沈下率の点で、紙製機に優る値を得ることができる。
特徴2 機体を保存する場合に、周囲の環境すなわち温度、湿度の影響を受けて機体は変形する。紙製機に対して、発泡スチレン機の経時変形の度合いは経験的に小さいものと認識されている。従って、長時間放置しても、そのまますぐに正常に飛ばすことができる。
特徴3 紙製機の欠点のひとつは、雨や地面の草つゆが多量にある場合には、濡れて紙の強度が低下して飛行させることが困難となることである。発泡スチレン機にはこの欠点はない。
 

2006(C) 二宮康明 無断転載を禁ず
 
 Copyright(C) 2006 AG CORPORATION. All rights reserved.